2024年度 神奈川県当初予算案についての談話
2024年2月26日
平和で明るい神奈川県政をつくる会
事務局長 山 田 浩 文
神奈川県は、2月8日に2024年度の当初予算案を発表しました。県民の暮らしの改善や県民要求の前進をめざす「平和で明るい神奈川県政をつくる会」として、当初予算案について談話を発表するものです。
1.県民の願いを実現する財政力はある
新型コロナ対策費の縮減などによって2年連続で一般会計の総額は減少しましたが、過去3番目の規模であり、知事の姿勢によって県民生活を支える施策をより充実することができると考えます。
とりわけ、当初予算編成方針では、相も変わらず財源不足を喧伝しましたが、大幅な事業見直しもせず収支の均衡のとれた予算案となっており、財源不足を理由に県民の要求を抑え込むやり方をやめるよう求めるものです。さらに、予定以上に県債残高を減らす方向であり、必要以上にため込んでいる財政調整基金の活用とあわせて、県民の願いを実現する財政力が神奈川県にはあります。
2.評価できると考えられる点
能登震災で改めて明白になったように、行政が必要な人員を確保することは重要です。職員の定数について、昨年を上回り141人の増としたことは一定評価できます。実際に定数通りの人数を確保すること、正規職員の増員をさらにはかることを求めていきます。
県民や「明るい会」構成団体などの要求・運動もあり、「小児・ひとり親家庭等への医療費助成」や「重度障がい者医療費助成」について政令市・中核市への補助格差を解消し増額することは評価できます。
また、私立高等学校授業料の無償化の対象が拡大されること、子どもたちの学びを保障するための支援員などの配置、困難な問題を抱える女性に対する支援なども、県民の要求や課題に応えるものとして評価します。
3.課題・問題と考える点
同時に、課題も少なくありません。1つは、本質の課題解決に踏み込まない、あるいは規模やスピードが遅いというものです。教育分野では補助的な人員配置などの前進はあるものの、もっとも必要な教員の適正な増員が行われません。脱炭素社会の実現を掲げていますが、石炭火力発電を容認し、問題が指摘されている水素の活用を重視し、省エネや再エネ導入は求められる規模やスピードからして極めて不十分です。
倒産が増えている中小企業への支援や産業政策は、従来の施策がほとんどで、地域経済の活性化につながるか疑問です。政府や財界も呼びかけ、日本全体の大きな課題となっている労働者の賃金を引き上げるための施策は何もありません。県庁で働く非正規雇用労働者の賃上げや、公契約条例の制定による関連労働者の適正賃金の確保などを打ち出すべきです。逆に、まともな雇用や賃金を破壊し、利用者にも被害をもたらしかねないライドシェア推進のために予算を計上したことは大きな問題です。
能登震災を受けて緊急に盛り込んだと知事が自慢した災害対策においても、県の備蓄強化の予算は微々たるものであるなど、県民の命と暮らしを守るために、規模とスピードの抜本的な拡充が求められます。
議会からも効果が疑問視されている「未病」について、引き続きこだわり、何の役に立つのかわからないVR機器の導入などに予算を使うべきではないと考えます。大変な状況にある介護事業についても、介護にそぐわない「生産性向上」のためのロボットやICT導入には一定の予算をつけながら、喫緊の介護人材の確保支援には300万年強の予算しかないのは本末転倒です。
総じて、政府や財界の意向にならい、一部の企業などが「儲かる」施策には熱心だが、県民や中小企業の苦難を軽減する施策は不十分であり、地場の人や事業所を活かした地域づくり・街づくりという、展望ある未来の神奈川をまったく描けない予算案となっています。
「平和で明るい神奈川県政をつくる会」は、県民の要求を実現するための予算に編成し直すことを求めるとともに、一歩でも県民の困難が軽減され、願いが前進するために、運動を進めていきます。
以上